よこはま都市未来研究所にインタビュー!信託銀行出身の不動産鑑定士が語る

今回は、横浜市西区にある「よこはま都市未来研究所」の代表で不動産鑑定士の馬場佳子(ばばけいこ)さんのもとに行って参りました。

不動産鑑定業界は仕事のパイを奪い合う熾烈な競争がある業界と聞いていますが、馬場代表はほかの不動産鑑定事務所とは違った目線で事業を捉えており、全く違うアプローチをしています。
そのエッセンスや目指しているところについてお伺いしてきました!

1.馬場代表が不動産鑑定士を目指したキッカケについて教えてください


馬場代表:私は大学を卒業し、新卒で三菱信託銀行(現:三菱UFJ信託銀行)に入行しました。
当時は男女雇用機会均等法の施行もあり、大手企業が女性の総合職を採用し始めたタイミングでしたが、三菱信託銀行はその2年前から女性総合職を採用している進歩的な金融機関でした。
私は経済学部で学んだこともあり、金融機関を中心に新卒採用試験を受け複数の内定をいただいていましたが、最も女性総合職の採用に積極的であり、女性の先輩もいる三菱信託銀行へ入社することを決めました。

入社してみると社内に不動産鑑定士の資格を取得するコースがあったため、応募することにしました。
そのコースは、4月に入社して7月の不動産鑑定士2次試験までの3ヶ月間、業務に就くことなく勉強だけができるという恵まれたものでした。
そのコースの受験生として選抜された私は3ヶ月間みっちりと勉強に励み、無事に2次試験に合格することができました。

その後、銀行で2年間の実務経験を積んだ後に3次試験を受験し、平成2年12月に不動産鑑定士の資格を取得することができ、平成3年4月に不動産鑑定士として登録されました。

——銀行での実務経験とはどのようなものでしたか?

馬場代表:入社後すぐに鑑定部と兼務で開発事業の部署に配属され、2次試験合格直後から実務に従事しました。
主な業務は、不動産有効活用や不動産開発の企画でした。
当時はバブル景気の最中でしたので、若手社員でも責任ある仕事をいただけるほど忙しい時期でした。
いまではコンプライアンスに抵触すると思いますが、徹夜で企画書を作成してお客様のもとへプレゼンテーションをしに出かけたり、「土・日も働きたい!」と思うほど仕事が面白く充実した日々でした。

2.貴所の立上げの経緯について教えてください

馬場代表:銀行で充実した毎日を過ごしていましたが、縁があって結婚をし、それを機に平成3年9月に銀行を退職することになりました。
銀行は退職しましたが、不動産鑑定士の資格は活かせるため、個人事業主として不動産鑑定事務所を創業しました。
ありがたいことに、円満退職した三菱信託銀行や銀行時代に取引させていただいていたゼネコンさんやデベロッパーさんに支えられ、鑑定評価業務やコンサルティング業務の仕事を受託していました。
その当時、まだまだ若手不動産鑑定士だった私に、仕事をいただきながら自身の勉強をさせていただいたことは、今でも本当に感謝しています。

平成6年になって、大学時代の先輩と共同で不動産鑑定会社を設立し、私は鑑定評価業務と不動産コンサルティング業務を担当していました。
その頃、主人が福岡へ転勤になったこともあり、福岡支社を立ち上げて鑑定評価業務を中心に事業を展開したりもしました。

当時は、バブル景気は崩壊して不良債権問題が各金融機関の喫緊の課題だったこともあり、「バルクセール用に30件の不動産鑑定評価をまとめてお願いします」など債権回収のために鑑定評価の依頼が非常に多かった時期でした。
その後、福岡から神奈川に戻っても、神奈川支社を立ち上げて鑑定評価業務などを行っていました。

——現在の事務所を立ち上げたキッカケは何だったのですか?

馬場代表:あるとき、慶應大学のビジネススクールの修士課程(Executive MBA)が1期生を募集しているのを知り、入学試験を経て入学しました。
そのビジネススクールには、製造業や広告業などさまざまな業種の大手企業の幹部候補生が生徒として集まっており、彼らとともに進めるカリキュラムを通じて大きな刺激を受けました。

なぜなら、1クラス40人の一人ひとりが、みな違う経歴や背景を持ち合って、いろいろな議論が飛び交い、非常にエキサイティングな場だったからです。こうした場を経験し、「人として生まれたからには社会に恩返しをしなければならない」という使命感が明確になりました。
自分から手を挙げて始めなければ何も進んでいかないということを、身を持って体験した私は、「とにかく自分で行動を起こしてみよう」と考え、この事務所を立ち上げました。

——MBA(EMBA)は現在の馬場代表に活きていますか?

馬場代表:メチャクチャ活きています(笑)
EMBAを取得したからといって、優良な企業への就職・転職に役立つなど目に見えるメリットはないかもしれませんが、自分自身の視点や発想が大きく変わりました。

EMBAでは、様々な興味深い視点について学びました。
モノを鳥瞰的に見ることもその一つです。
例えば、2050年の世界を考えてみて、そこからバックキャスト(ある事柄において、目標となる未来を定めたうえで、そこを起点に現在を振り返り、いま何をすべきか考える未来起点の発想法)で、いまの自分が何をすべきなのかをみんなで寝ずに討論する…といった経験をしました。
そうした視点により、とことん考えることの大切さを知ったことは、大きな財産となっています。

3.貴所の主な事業概要について教えてください

馬場代表:当事務所の主な事業には、2つの事業があります。
第一は不動産鑑定事業、第二に不動産コンサルティング事業です。

不動産鑑定業務に関してはすでに30年の経験があるため、土地や建物の評価のみならず、借地権・地代・立退き料などさまざまな類型の鑑定評価が可能で、これらに伴う助言等も同時に行うことが当事務所の強みともなっています。

不動産コンサルティング業務については、信託銀行時代の経験より事業性の検証などの依頼が多かったのですが、近年は個人のお客様の相続案件の相談が増えました。
「相続が発生したのですが、何もわからないのですべてお任せしたい」といった内容の依頼が多いですね。
女性である私が代表を務める事務所ですので、安心して相談にみえるのかもしれませんが、ほとんどのお客様は知り合いの方や既存クライアント様からのご紹介です。

そのほか珍しい業務としては、森林評価士の資格を活かして、森林などの鑑定評価も手掛けています。
余談ですが、EMBAの研究テーマは「森林の証券化」でした。

——そのほかにも手掛けている事業があるそうですが?

馬場代表:実は、全く不動産鑑定とは異なった分野なのですが、一般社団OSDよりそいネットワークの代表理事も務めておりまして、障害者などの支援を行っています。
障害者が親御さんと同居して生活が成り立っている場合、親御さんが亡くなった時にご本人が生活できるよう、様々なサポートをしています。
ちなみに、OSDは「(O)親が(S)死んだら(D)どうしよう」転じて「親が生前にできること」という意味です。

特に、40代から60代の方々のひきこもりが社会問題化していますが、引きこもりや孤立支援といった部分は、自治体もなかなか手を付けにくいのが現状です。
そのため、我々が全国的にこの問題の解決に貢献したいと考えています。

4.貴所の強みや他事務所との差別化戦略について教えてください

馬場代表:強みや差別化としては、前述の「不動産鑑定士としての30年の経験」「女性ならではの安心感」のほかに、次の2点が挙げられます。

1. 広い視野でお客様のニーズにお応えする
時間軸を含めた広い視野で問題の解決に当たっています。
例えば、相続案件などをコンサルティングする場合、その方にとって不動産は相続後も何十年と運用していく資産であるため、その方の属性のみならず社会の動向なども見極めて最適な答えを出さなければなりません。
そのため、長期的に見てその方にとって何が正解なのか、客観的に判断しています。

2. お客様に寄り添った提案を考える
個人のお客様や公益法人様などにありがちなのですが、合理的に考えれば絶対にこうした方がよいという答えがあるにもかかわらず、お客様の希望としてこうしたいというというケースがあります。

例えば、客観的に見れば、物件Aは今すぐ売った方がよいにもかかわらず、お客様の事情により絶対に売りたくなく、ほかの方法を検討したい…といったようなケースです。
客観的に推奨される案であったとしても、お客様としてはどうしても採用できないのであれば、その旨をお伝えした上で、ご意向に沿ったスキームを検討し提案させていただきます。

この場合、推奨案が合理的であればあるほど、代替案を見つけることは難しいと思いますが、当事務所の提携先などすべてのチャネルをフル活用して、さまざまな選択肢をしらみつぶしに検討して解決策を模索します。
物件Aを売却すること以外に代替案が見つからない場合もありますが、お客様の目線に徹底的に立った提案を目指しています。
ただし、お客様が誤った判断をされないよう、客観的な意見についても合わせてご説明するよう心がけています。

5.今後の展望や将来的なビジョンについて教えてください


馬場代表:将来的に不動産鑑定業界は縮小均衡化していくのでは…と懸念しています。
なぜなら、不動産鑑定士業界は高齢化が進んでおり、若者の受験者数も減少しているため、不動産鑑定士の数が減少していくリスクがあるためです。

さらに、これまで、多くの不動産鑑定士は国や地方公共団体からの公的な仕事によって成り立ってきましたが、今後は公的な仕事が減っていき、全体のパイが減少していくと考えられるためです。

とはいえ、社会に不動産鑑定士を必要とする仕事や案件はたくさんあり、それらを掘り起こすことが今後は必要でしょう。
そのためには、お客様が本当に必要としている仕事を受託して、正規の報酬をいただくことが大切であり、不動産鑑定業界もこうした動きを奨励しています。
過剰な相見積もりなどにより価格競争が生じてしまうと、鑑定評価の質も落ちるため決してよい現象ではありません。
いわゆる「安かろう、悪かろう」の状態となってしまいます。

当事務所では、お客様が本当に求める業務に対して、その成果を適正な価格で提供することをモットーとしており、不動産鑑定業界のロールモデルとなるべく試行錯誤で取り組んでいます。

そのほか、日本は少子高齢化を迎えており、高齢者の方々が「終活」に追われているような状況は、なんとなく未来が暗いような気がしています。
そのため、自身の未来に希望と夢を持てるような、明るい社会作りに携わることを目標とし、高齢者も、子供も、障害者も、バリバリ働くサラリーマンも集い、話し、支え合えるようなコミュニティをあちらこちらに広げていきたいと思っています。

これは、不動産鑑定事務所としてというよりは、私個人の人としての目標かもしれませんが、事務所としても空き家問題などの解決を通じてコミットしていこうと考えています。

6.インタビューを終えて…

一流大学を卒業されて、難関である不動産鑑定士の資格試験を1回でパスし、MBAホルダーでもある馬場代表ですので、さすがに頭脳明晰でロジカルな方でした。
しかし、二人のお子さんを持つ母親としての優しさや包容力も感じられ、終始穏やかにお話を伺うことができました。

横浜エリアで不動産や相続問題に悩まれている方は、不動産鑑定士をして30年のキャリアを誇る馬場代表に相談してみてはいかがでしょうか。
きっと、あなたに最適な答えを一生懸命に提案してくれるはずです!

よこはま都市未来研究所公式サイト

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