ノア法務司法書士事務所にインタビュー!元フリーターから司法書士事務所代表へ大逆転!
- 2019/8/26
- 取材

弁護士を目指して挑戦していた司法試験から、司法書士試験に道を変えた遠藤太郎(えんどうたろう)代表。
司法書士を目指したキッカケから独立開業の裏話、事務所を軌道に乗せた独自戦略、司法書士としての強み、将来のビジョンなどについて伺ってきました!
Contents
1.遠藤代表が司法書士を目指したキッカケについて教えてください
遠藤代表:実は、大学4年生の時から8年間司法試験に挑戦していたのですが、9年目に司法試験制度が変更になりました。
そこで、ロースクールへ行くかどうか悩んだのですが、これまで勉強してきたことを活かすことができる司法書士試験を受けることを決心しました。
この時点では、司法書士がどのような仕事をするのかもわかっていなかったのですが、試験内容が一番重なっていることが決め手となりました。
「司法試験でみっちり勉強してきたのだから、司法書士試験はすぐに合格できるだろう」と軽い気持ちでいましたが、予想に反して合格まで4年かかってしまいました(苦笑)
つまり、司法試験で8年、司法書士試験で4年、合計12年間の浪人生活を経験して34歳で司法書士試験に合格したのでした。
浪人時代はコンビニやスーパーの夜勤、パチンコ店などでアルバイトしながら、勉強を続ける毎日でした。
——浪人中、最もつらいことは何でしたか?
遠藤代表:同窓会や冠婚葬祭など、昔の知り合いや親族などの集まりは行きにくかったですね(笑)
20代前半のころは、みなさん応援してくれていたのですが、年々「まだ受からないの?」といった雰囲気となり、30歳を過ぎたころには「触れてはいけない…」と周りの人にとってタブーなことになっていました(苦笑)
30歳を過ぎて合格した司法書士仲間も「同じ経験をした」と言っており、司法書士あるあるのひとつかもしれません。
特に冠婚葬祭では、親族が第三者に紹介できないような存在になったこともありましたが、司法書士試験に合格すると「○○さんに名刺を渡しなさい」「司法書士事務所の代表を務めています」などと紹介され、手のひらを返されたこともあります(笑)
「社会ってこんなもんだな…」としみじみ感じた経験でした。
2.独立開業の経緯について教えてください
遠藤代表:2011年10月に司法書士試験に合格すると、11月の終わりから3ヶ月間の新人研修を受けました。
一般的にはその間に面接に行くなど、司法書士事務所への就職活動を行います。
私も複数の事務所の面接を受けましたが、あまりピンとくるものを感じませんでした。
そこで、2012年6月に簡裁訴訟代理関係業務認定試験に合格すると「このまま開業してしまおう」と一念発起し、2012年8月に現事務所を開業したのです。
空白の12年間を経て、元フリーターが司法書士事務所の代表に就任した瞬間でした。
——いきなり開業する司法書士さんは珍しいですよね?
遠藤代表:確かに珍しいと思います。
普通は司法書士事務所で修業してから独立しますから…
しかし、新人の司法書士は事務所に入っても雑用などが多く、意外と司法書士業務の専門的な経験を積むことができないと聞いていました。
そこで私は「それだったら自分で一から初めてしまった方が勉強になるのでは?」と考えました。
また、開業すれば1から10まで自分の責任で対応しなければなりませんので、最もシビアに経験が積めるとも考えていました。
司法書士として開業するために大きな初期費用はかかりませんので、万一うまくいかない場合はどこかの司法書士事務所に勤めればいい…くらいの感覚でいました。
——仕事はどのように獲得したのですか?
遠藤代表:まず、私は生まれも育ちも大田区池上ですので、地元を徹底的に回ろうと考えました。
いわゆる飛び込み営業です。
銀行さん・信用金庫さん・不動産業者さんなどを中心に「今度司法書士事務所を開業しました!何でもやりますのでよろしくお願いします」というアピールを繰り返しました。
いま思うとよい経験にはなりましたが、無駄な営業でした。
そうした営業は、本来であれば今やるべきだと考えています。
「司法書士事務所を7年間運営している実績があります。得意分野は相続関係ですので、ぜひご相談ください」といった提案ができるためです。
「地元出身」しかアピールポイントのない新米司法書士に、仕事を依頼する人はほとんどいないでしょう(笑)
次に、自分でホームページを作成して集客しようと考えました。
開業当初のため時間だけはたっぷりありましたから、自分自身で没頭して作業していました。
しかし、名刺代わりくらいにはなりましたが、クライアントからの反響はほとんどありませんでした。
その他、「仕事をもらえるのではないか」と考え、異業種交流会に積極的に参加していました。
いま考えると詐欺まがいの交流会などもありましたが、法人会・商工会議所など、とにかくどのような集まりでも顔を出すようにしました。
しかし、業務の受任にはつながりませんでした。
——どのようなキッカケで事務所を軌道に乗せたのですか?
遠藤代表:いろいろなことに手を出していましたが、2年目からようやくコツがわかってきました。
まず、交流会は弁護士や税理士など士業の交流会のみに絞りました。
そこで、今でも交流が続く仲間と出会えることができたのです。
士業のネットワークは一度仕事を通してつながると、仕事の質や実績をもとに口コミで紹介の輪が広がっていきます。
士業の仕事にとっては、何といっても口コミが一番強いのです。
「遠藤先生なら大丈夫、信頼できます!」と他の士業の仲間に紹介されれば、クライアントにとっても一番安心できるからです。
私も他の士業の仲間を積極的に紹介することにより、士業ネットワークがどんどん拡がっていきました。
——ネットワークはどのように構築するのですか?
遠藤代表:まずは、人として仲良くなることが大切です。
私は趣味であるフットサルのチームを運営したり、士業交流会などのイベントを開催したりしています。
受け身でなく自分自身で交流の場を作ることによって、強いネットワークが築かれていきますし、自分自身のブランディングにもなっています。
気をつけることは、築いたネットワークに短期的な成果を求めるのではなく、長い目で見ることですね。
そのためには、そうした交流の場を楽しめることが大切だと考えています。
そのほか地元のコミュニティにも欠かさず参加し、社会貢献として保護司も務めています。
3.貴所の得意分野や強みは何ですか?
遠藤代表:得意分野は相続関係であり、当事務所の業務の70%が相続関係です。
具体的には、相続発生後の登記・遺産分割・遺言書・相続放棄・検認のほか、相続代行業務として銀行の解約・変更手続きなど、相続に絡む一括手続きを受任しています。
最近は、相続発生前の案件として家族信託が増えていますが、家族信託を業務に組み入れている司法書士事務所はほとんどありません。
当事務所では現在、家族信託案件が2案件進行中であり、対応が可能なことも強みといえるでしょう。
ある相続案件において、ご主人が亡くなり相続手続きが完了した後に、奥様の相続対策について話していると「家族信託を検討してみたい」という要望をいただきました。
そこで家族信託について勉強したのが、私が家族信託を取り扱ったキッカケです
家族信託に関しては、クライアントからの問い合わせや取り組みたいというオファーが確実に増えています。
私の地元がある東京都大田区というエリアは、相続案件が多いエリアであり、ホームページからの依頼は、ほぼ区内の方の相続案件となっています。
そのため、今後も相続関係を強みとしてブラッシュアップしていきたいですね(笑)
また、相続という切り口で考えると、民法の相続分野が改正され、今年から来年にかけて施行されますが、特に来年4月施行の配偶者居住権、7月施行の法務局での自筆証書遺言の保管など、司法書士としての取り組む分野が増えていきます。
これらがビジネスチャンスとなるのかどうか、仲間の司法書士などと勉強しています。
4.これまでで最も印象に残っている業務のエピソードを教えてください
遠藤代表:相続人から相続手続きに関して一括でお任せいただいた案件です。
ご相談者は、当事務所のホームページから「何から手をつければよいのか一切わからないので、すべてお任せしたい」と依頼されました。
私はワンストップで相続に関するすべての窓口となり、銀行手続きや相続登記、相続税に関する手続き、年金関係の手続き、遺品整理・片付け、不動産売却などの書類一切をお預かりし、すべての手続きをコーディネートしました。
私は窓口として機能しますが、司法書士業務しか行えないため、相続税に関してはネットワーク内の税理士を紹介し、年金関係は社会保険労務士を紹介、不動産売却については不動産業者を紹介して担当してもらいました。
さまざまな手続きがあり、非常に煩雑だったため、すべてが完了するまで10ヶ月間を要しました。
その間、最低でも毎月1~2回面談して報告・相談を重ね、最後の面談時には大きな感謝の言葉をいただきました。
そのうえ、仕事の質や人間性を評価していただき、「私たちの相続のときもよろしくお願いします」と委任してくれたのです。
これまでのクライアントの中でも、最も長い期間お付き合いさせていただいたクライアントであったため、印象に強く残っています。
5.逆に、これまでに最も苦労した業務のエピソードについて教えてください
遠藤代表:苦労はいっぱいありますが、税理さんからのご紹介で受けた所有権移転登記の登録免許税を間違えてしまい、計算ミスの分を自分で補てんしたことが何度かありました。
直近ですと2年前に3万円くらい補てんしており、開業から7年間で10万円以上の損害が発生しているのではないでしょうか(苦笑)
——いわゆるケアレスミスですね(笑)?
遠藤代表:そうです。
税率を間違えたり、評価証明書の数字を間違えたり…あってはならないことです!
6.今後の展望やビジョンについて教えてください
遠藤代表:ごく短期的には二つの展開を考えています。
ひとつ目はセミナー開催です。
今年の6月に「登記簿の読み方」というテーマでセミナーを収録しました。
今後、DVD販売やオンラインセミナーなどで公開する予定ですが、今後も対面セミナーなどを含めてセミナーに挑戦していきます。
セミナーは話す訓練にもなりますし、司法書士としてのブランディングになります。
ブランディングの意味では、書籍を出版することも検討しています。
ふたつ目はブログの公開です。
これまで書き溜めている自分の雑感や専門的な話などをブログとして公開する予定です。
このように、短期的にはセミナーやブログなどのツールを活用して、発信力を高めていくことがひとつの目標です。
将来的なビジョンとしては、これまでのネットワークをより拡げていくことを考えています。
ネットワークが大きく積み上がった時に何かが見えるはずだと感じていますので、とにかく向上心を忘れずにネットワークを拡げていくことが目標です。
浪人生活中は勉強のために人間関係を狭めていく生き方でしたが、司法書士となってからは人間関係を拡げていく生き方をしたいです。
具体的には、築いてきた士業ネットワークを組織化して、クライアントの問題や課題をワンストップで解決できるプロ集団を作る…ということをイメージしています。
組織はNPO法人でも社団法人でも株式会社でもいいのですが、法人化して組織をフル活用したいですね。
これまでのイベント運営実績やネットワーク構築実績を活かして、私がその法人団体のトップとして運営に注力できれば…と考えています。
7.最後に、この記事を読んでいる方々にひと言お願いします
遠藤代表:相続は当事務所の最も得意としている分野ですので、相続手続きや遺産分割でお悩みでしたらぜひ私にご相談ください!
士業ネットワークを活かして、ワンストップで相続のすべての問題解決をコーディネートいたします。
「不動産テラスを見た」と言っていただければ、無料相談など対応させていただきますので、まずはお声掛けくださいね!
8.インタビューを終えて…
「声がかかれば24時間365日、いつでも会いに行きます!」と話される遠藤代表ですが、実にアクティブでパワフルな司法書士さんです。
現在は、士業の交流会だけでなく、社会人サークルイベントまで大々的に開催しているようです(笑)
イベンターとしての才能も発揮する遠藤代表は、人とのつながりを大切にする律儀で優しい一面も備えています。
相続関係の手続きをまとめて面倒見てもらいたい方は、遠藤代表を頼ってみるとよいのではないでしょか。