不動産登記事項証明書の読み方を解説!これだけは押さえよう!

あなたがマイホームを購入する場合には、自分の名義で土地・建物を登記します。

その際に、銀行などの金融機関から住宅ローンを利用して購入すれば、銀行の抵当権を登記します。

あるいは、あなたの親が亡くなって相続が発生した場合も、登記を行う必要があります。

このように、不動産登記はわれわれの日常生活の身近なところにあり、基本的な仕組みを知っておくことや、登記された内容を正しく理解することは非常に大切です。

そこで今回は、不動産登記事項証明書(不動産登記簿)の読み方について徹底解説します。

これから不動産を売却または購入する人、不動産を相続・贈与する人、競売に参加する人などは、登記事項証明書を正しく読むためにこの記事を役立ててください。

不動産と動産の違い

不動産とは

不動産とは、土地および土地上の定着物をいいます。

土地には、家やマンション、オフィスビルなどが建っている宅地や農業を行うための農地、林業を行うための山林などがあり、土地は登記することができます。

定着物とは、土地上に付着して簡単に移動・分離ができない物をいい、具体的には建物や樹木、石垣などが定着物といえます。

定着物のうち、建物は土地から独立した定着物であり、土地と別個の独立した不動産として登記することができますが、一定の種類以外の樹木、石垣などは土地と一体であると判断されるため、独立した不動産ではなく登記することはできません。

また、一定の種類の樹木の集団(立木(りゅうぼく)といいます)は、「立木に関する法律」の規定により、建物と同様に土地と別個の独立した不動産として登記することができます。

このように、土地と建物は別個の不動産であるため、それぞれを別々の名義にすることができ、それぞれの登記記録が作成されています。

動産とは

一方、動産とは不動産以外のすべてのものをいい、具体的には現金・商品・家財などの財産や機械・設備・自動車などが動産となります。

動産と不動産では、法律上の取り扱いが異なっており、権利の取得や喪失、変更などに関して、不動産の場合は「登記」が対抗要件となりますが、動産の場合は登記することができないため「引渡し」が対抗要件となります。

<不動産と動産>

不動産登記とは

不動産登記の役割

不動産登記は、土地や建物などの所在・面積、所有者の住所・氏名などの情報を公の帳簿(登記簿)に記載して社会に公開することにより、誰もが権利関係などの不動産の状況を確認することができ、スムーズで安全な不動産取引を実現する役割を担っています。

登記事務を扱う役所

登記事務を管理しているのは法務省であり、実際の取扱いは「法務局(支局・出張所)」で行っています。

法務局のことを「登記所(とうきしょ)」とも呼んだりしますが、正式な呼称ではありません。

全国を8つのブロックの地域に分けて、各ブロックを管轄する機関として「法務局」が設置され、「法務局」の下に都道府県を単位とする地域を管轄する「地方法務局」が設置されています。

法務局は全国で8か所、地方法務局は全国で42か所あり、その出先機関として支局と出張所があります。

法務局、地方法務局および支局では、登記・戸籍・国籍・供託・訟務・人権擁護の事務を扱っており、出張所では主に登記事務を扱っています。

法務局の登記事務は受け持つエリアや管轄が法律により定められており、複数の市区町村をまとめて1つの管轄区域とし、その管轄区域の登記事務を1つの法務局が取り扱います。

例として、東京法務局・立川出張所は、立川市・昭島市・日野市・武蔵村山市・東大和市・国分寺市・国立市が管轄区域となっており、これらのエリアの登記事務を取り扱っています。

ただし、コンピューター化された法務局間においては、土地・建物の登記事項証明書の交付請求を相互にすることができる「登記情報交換サービス」という制度が展開されています。

このサービスにより、対象不動産の所在地を管轄する法務局ではなく、最寄りの法務局で登記事項証明書の交付を受けることができます。

例えば、北海道の土地の登記事項証明書を東京の法務局で受け取ることができるのです。

登記簿謄本と登記事項証明書の違い

登記簿謄本とは

まず、登記簿謄本とは、法務局が登記簿の複写した書面に、登記簿の謄本であることに相違ないことを登記官の名前で証明した書面のことをいいます。

<登記簿謄本の事例>

登記簿謄本には土地や建物の所在・面積、所有者の住所・氏名、所有権以外の権利関係などが記載されています。

登記簿謄本を確認することにより、購入前にその不動産に関する権利関係を確認したり、購入後に所有権がきちんと移転されているかなどを確認したりすることができます。

また、不動産を担保とした金融機関などによる抵当権設定の有無や担保の内容も確認することができます。

登記事務をコンピューターで処理していない法務局においては、登記事項を直接登記用紙に記載しており、登記簿謄本はその用紙を複写して証明したものです。

登記事項証明書とは

次に、登記事項証明書について説明します。

コンピューター処理された登記簿は複写をすることができないため、登記簿謄本の代わりに磁気ディスクに記録された登記事項について証明した書面を登記事項証明書といいます。

<登記事項証明書の事例>

現在、法務局ではコンピューター化が進んでいるため、登記簿謄本ではなく登記事項証明書を交付するケースがほとんどです。

登記簿謄本と登記事項証明書は名称が異なるだけで、証明内容はどちらも同じです。

仮登記と本登記の違い

登記には仮登記と本登記があり、仮登記は本登記前の予備的な登記のことであり、本登記は本来の効力を発生させる登記であり、対抗力を持ちます。

仮登記には、本登記を行うための必要書類がないときに、順位を保全するための仮登記と、将来的な登記請求権を保全するためにあらかじめ順位を確保するための仮登記があります。仮登記は、登録免許税が本登記と比較して安くなっています。

具体的な事例で説明しましょう。

<仮登記および本登記の事例>

上の図の事例は、売主Aと買主Bとの間で平成17年2月8日に不動産の売買予約をしたことに基づき、所有権移転請求権の仮登記を行っています。

仮登記をした時点では、物件の所有権は売主Aにあり、仮登記名義人の買主Bは第三者に対して対抗力を持ちません。

そして、平成17年2月28日に売買が成立し、所有権移転の本登記が行われていることが登記事項証明書からわかります。

仮登記を本登記することにより、所有権は売主Aから買主Bに移転して、Bは第三者に対して対抗力を持つこととなります。

登記記録の調査方法

登記記録の調査方法には、「法務局で登記記録を閲覧する」「インターネットで登記情報を閲覧する」「登記事項証明書を取得する」という3通りの方法があります。

ここでは、それぞれについて説明していきます。

法務局で登記記録を閲覧する

対象不動産を管轄する法務局へ行き、直接、登記記録を閲覧することができます。

コンピューター化されている法務局では、コンピューター上の登記記録を閲覧することはできませんが、閲覧の代わりに登記記録の概略を記載した「登記事項要約書」が発行されます。

ただし、登記事項要約書には、登記事項証明書のような法務局の交付年月日や証明印などはありません。

<登記事項要約書の事例>

インターネットで登記情報を閲覧する

コンピューター化された全国の法務局より、インターネットを利用して登記情報を有料で閲覧することができます。

この有料サービスを利用するためには、財団法人民事法務協会が運営する「登記情報サービス」に利用申請を行い、IDとパスワードを取得する必要があります。

登記情報サービス

登記事項証明書を取得する

コンピューター化されている法務局では、登記記録を「登記事項証明書」という書面で取得できます。

コンピューター化が完了していない法務局では、従来通りの「登記簿謄本」が発行されます。

登記事項証明書には「全部事項証明書」と「現在事項証明書」の2つがあります。

「全部事項証明書」は、過去の履歴も含めた内容が記載されており、登記簿謄本にあたるものです。

「現在事項証明書」は、現在効力のある内容だけが記載されており、過去の履歴は記載されていません。

一般的に、その不動産について過去の経緯や履歴などを含めて詳しく知りたい場合には、全部事項証明書を取得します。

登記事項証明書(または登記簿謄本)を取得するには、対象不動産を管轄する法務局にて「登記事項証明書交付申請書」に必要事項を記入のうえ、窓口に提出します。

登記事項証明書(または登記簿謄本)の発行手数料は、1通につき600円となっており、収入印紙を貼付して支払います。

<登記事項証明書交付申請書の記入例>

引用元:法務省ホームページ 各種証明書請求手続 より

登記記録の仕組み

登記記録は原則、表題部と権利部に区分されており、権利部はさらに甲区と乙区に区分して作成されています。

ここでは、表題部・権利部それぞれの登記記録の仕組みについて、具体的な事例を交えながら説明していきます。

表題部

一番初めの登記記録を「表題部」といいます。

表題部には「土地の地番や地目」「建物の所在や家屋番号」「面積」などの物理的状況が記載されています。

なお、分譲マンションなどの区分建物は、一棟の建物全体についての表題部と個々の専有部分についての表題部と両方の表題部が存在します。

建物を新築・増築した場合や取り壊した場合などは、建築後1ヶ月以内に表題登記(表題部の登記すること)を行うことが、不動産登記法に定められています。

<表題部(土地)の事例>

上の事例は、土地の登記事項証明書の表題部であり、一番上の欄に「表題部(土地の表示)」と記載されています。

「所在」は「○○市○○町○丁目」、「地番」は「939番7」となっています。

「地目」とは土地の種類のことであり、田・畑・宅地・公衆用道路・雑種地などがあります。

この事例では「宅地」となっています。

「地積」は土地の面積のことであり、単位は「平方メートル」で表示されます。

この事例では「69.76平方メートル」です。

一番右側の「原因及びその日付(登記の日付)」には、分筆(1筆の土地を2筆以上に分ける)や合筆(2筆以上の土地を1筆にする)が行われた日付やその内容、地目変更(地目を田から宅地に変更するなど)が行われた日付やその内容などが記載されます。

上の事例では、平成3年10月29日に939番1から分筆されている、ということがわかります。

<表題部(建物)の事例>

続いて、建物の登記事項証明書の表題部である「表題部(主である建物の表示)」を確認してみましょう。

上の事例において、「所在」は「○○市○○町○丁目939番地6、939番地7」であり、「家屋番号」は「939番6」となっています。

「家屋番号」とは、法務局が不動産登記法上の建物に付与する番号であり、ひとつひとつの建物を識別するための番号となります。

同じ地番の土地上には、同一の家屋番号は付与されません。

次に「種類」が「店舗・居宅」であり、「構造」は「計量鉄骨・鉄骨造陸屋根3階建」、「床面積」が「1階:150.76平方メートル 2階:148.96平方メートル 3階:102.52平方メートル」となっています。

一番右側には「原因及びその日付(登記の日付)」が記載されており、建物の新築年月日などが記載されます。

この事例では、昭和55年9月25日に建物が新築され、平成4年7月5日に変更・増築が行われていることがわかります。

権利部(甲区)

二番目の登記記録を「権利部(甲区)」といいます。

権利部(甲区)には「所有権に関する権利」である「所有者の住所・氏名」や「不動産を取得した原因やその年月日」などが登記されています。

また、権利部(甲区)には、「所有権仮登記」「所有権移転請求権仮登記」「差押登記」「仮処分登記」なども記載されます。

注意しなければならないのは、権利部(甲区)に所有者として記載されている人が必ずしも真正な所有者とは限らないことです。

例えば、Aという人が所有者として記載されていても、Aが亡くなって相続登記がなされていない場合、現在の真正な所有者が記載されているとはいえません。

現在の真正な所有者は、Aの相続人であるからです。

<権利部(甲区)の事例>

上の事例は、権利部(甲区)の事例です。

権利部(甲区)は、「順位番号」「登記の目的」「受付年月日・受付番号」「原因」「権利者その他の事項」が記載されます。

「順位番号」は登記の順番を表した番号であり、「登記の目的」は売買による「所有権移転」や建物を新築して初めてする所有権の登記である「所有権保存」などがあります。

「受付年月日・受付番号」は法務局が登記申請を受け付けた日付と受付番号、「原因」は所有権が移転した原因と日付、「権利者その他の事項」には所有者の住所・氏名が記載されます。

なお、2人以上の共有の場合は各共有者の住所・氏名と持分割合が表示されます。

この事例では、平成3年4月18日に新築されたこの建物を初めて所有した人から、平成7年3月27日に売買によって所有権が移転しており、所有権移転登記申請を法務局が受理した日は平成7年3月29日となっています。

権利部(乙区)

三番目の登記記録が「権利部(乙区)」です。

権利部(乙区)には、「所有権以外の権利」である「抵当権」「根抵当権」「賃借権」「地上権」などの権利が登記されます。

<権利部(乙区)の事例>

上の事例は、権利部(乙区)の事例です。

権利部(乙区)にも、「順位番号」「登記の目的」「受付年月日・受付番号」「原因」「権利者その他の事項」が記載されます。

この事例では、「登記の目的」の欄が「抵当権設定」となっており、順位番号2番まで登記されていますが、万一、この不動産が競売にかけられた場合は、順位が早い方から優先的に配当を受けられるということになります。

「権利者その他の事項」には、抵当権の内容が詳しく記載されています。

この事例の場合は、平成16年11月18日にこの不動産の購入者が抵当権者であるAとBから融資を受けたため、同日付で抵当権設定を行ったことがわかります。

ちなみに、順位番号1番の付記1号は、AからCへ名称が変わったことを表しているだけで、AとCは実質同じ抵当権者です。

区分建物(分譲マンションなど)の登記記録

最後に、分譲マンションなどの区分建物の登記記録について説明します。

区分建物の登記記録は、これまで説明してきた土地や建物の登記記録と少し形式が異なります。

一棟の建物の表題部

区分建物の場合、一番初めの登記記録は「一棟の建物の表題部」となります。

マンション全体(1棟)の「所在地」「建物の名称」「建物の構造」「床面積」などの物理的状況が記載されます。

二番目の登記記録は「専有部分の建物の表題部」となります。

マンションの各専有部分(101号室、405号室など)の建物の「家屋番号」「床面積」などが記載されます。

三番目・四番目の登記記録は、通常の土地や建物と同様に権利部(甲区)・権利部(乙区)となります。

ここでも、具体的な事例を使って確認してみましょう。

<一棟の建物の表題部の事例>

まずは、一棟の建物の表題部の事例です。

一番上に「専有部分の家屋番号」があり、その下から「表題部(一棟の建物の表示)」として「所在」「建物の名称」「構造」「床面積」がそれぞれ記載されます。

この事例では、○○区○○町○丁目○番地○に所在する○×マンションという名称のマンション1棟があり、構造は鉄筋コンクリート造・陸屋根地下1階付地上15階建、1階から15階までの床面積が各階ごとに記載されています。

また、マンションが建っている敷地を利用する敷地権に関する登記も行われており、それらの登記記録は「表題部(敷地権の目的である土地の表示)」に、「所在及び地番」「地目」「地積」「登記の日付」が記載されています。

この事例では、地目は宅地、地積は5,423.29平方メートルとなっています。

専有部分の建物の表題部

続いて、専有部分の建物の表題部の事例を見てみましょう。

<専有部分の建物の表題部の事例>

「表題部(専有部分の建物の表示)」として、「家屋番号」「建物の名称」「種類」「構造」「床面積」がそれぞれ記載されます。

この事例では、家屋番号が○○町○丁目○番○の1308、建物の名称は部屋番号(1308号室)であり、建物の種類は居宅、この部屋の構造は鉄筋コンクリート造1階建(通常、マンションの部屋は2階がなく1階のみです)、専有面積が66.20平方メートルの部屋であることがわかります。

ちなみに、マンションの専有部分の登記上の床面積は内法面積で表示されるため、販売図面やパンフレットに記載されている壁芯面積より狭くなります。

続いて、「表題部(敷地権の表示)」に、「土地の符号」「敷地権の種類」「敷地権の割合」「原因及びその日付(登記の日付)」が記載されています。

「敷地権の種類」には、所有権、賃借権、地上権の3種類があります。

「敷地権の割合」には、その専有部分が有する土地の持分が分数で記載されています。

この事例では、敷地権の種類は「所有権」、敷地権の割合は「1,649,273分の7,032」ということがわかります。

登記することができる10の権利

不動産登記法に定められた登記することができる権利とは、下記の10の権利です。

各権利について確認していきましょう。

所有権

所有権とは、不動産を自由に使用・収益・処分することができる権利です。

所有権を登記する場合、所有者の住所・氏名が記載され、不動産を共有している場合には、共有者それぞれの共有持分も記載されます。

所有権に関する主な登記には「所有権移転登記」と「所有権保存登記」がありますが、それぞれについて説明します。

所有権移転登記

所有権移転登記とは、登記されている土地や建物などの不動産の名義を変える、つまり所有権が移転したことを示す登記です。

権利部(甲区)の一番下の欄の名義人が、登記上の現在の所有者ということになります。

また、所有権が移転した原因(登記原因)も記載されます。

一般的な所有権移転の登記原因には、売買・相続・贈与・遺贈・交換などがあります。

<所有権移転登記の事例1>

上の事例1では、順位番号1番の所有者×××○○は、この不動産を前の所有者(共有者全員の持分)から売買により昭和56年9月3日に取得し、平成14年10月29日には住所変更をしています。

そして、平成24年8月3日に×××○○から○○○○○株式会社社が、遺贈により所有者となっています。

その後、平成25年5月30日に売買により、○○○○○株式会社から●●●●●株式会社へ所有権が移転しており、●●●●●株式会社が現在の所有者であることがわかります。

<所有権移転登記の事例2>

事例2では、昭和56年12月27日に相続により、所有権が移転したことが登記されています。

所有権保存登記

所有権保存登記は、建物を新築した時に行われる登記であり、権利部(甲区)に最初の所有者を記載する登記です。

<所有権保存登記の事例>

所有権移転登記も所有権保存登記も義務ではありませんが、「第三者への対抗力」を持つために早期に登記することが一般的です。

地上権

地上権とは、建物や工作物、竹木(ちくぼく)を所有するために他人の土地を借りる権利です。

地上権は、「土地を借りる」という意味では、後述する賃借権と非常に似ている権利ですが、地上権と賃借権を総称して「借地権」といいます。

地上権と賃借権の大きな違いは、地上権は登記の義務があるために登記簿を確認すれば地上権は設定されています。

賃借権は登記の義務はありません。

その他に地上権の特徴として、賃借料の定めがないことや地主の承諾なしで他に譲渡することができることがあります。

一般的な借地権は賃借権であり、地上権はほとんど見られませんが、地下に地下鉄が通っている場合や空中に高速道路が走っている場合などに地上権が設定されているケースがあります。

永小作権

小作料(耕作地の賃料)を支払うことにより、他人の土地で耕作や牧畜をすることができる権利をいいます。

地役権

自分の土地を利用するために、他人の土地を利用することができる権利です。

例としては、自分の土地が道路に接道していない場合に、道路に接道している土地の一部に地役権を設定して、通行のために利用する場合があります。

<地役権の具体的事例>

先取特権

複数の債権者がいる場合に、他の債権者より優先して債務者から弁済を受けることができる権利です。

不動産の工事代金や不動産の滞納賃料などがこれにあたります。

質権

債務者から動産や不動産を受け取って占有し、弁済がない場合はそれを売却するなどして優先的に弁済を受けることができる権利をいいます。

住宅ローンを利用する場合に加入した火災保険には、「質権設定付き」というプランがあります。

このプランでは、万一、火災が発生した場合に、保険金を契約者ではなく金融機関などの住宅ローンの債権者に優先的に支払うということになります。

抵当権および根抵当権

抵当権

抵当権とは、特定した一つの債権を担保する権利のことをいいます。

特定した一つの債権が弁済などにより消滅すると、それを担保していた抵当権自体も消滅することになります。

具体的な例でいえば、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、マイホーム(土地と建物)に金融機関などの抵当権が設定されますが、住宅ローンを完済すれば債務は消滅し、抵当権は抹消することができます。

<抵当権設定の事例>

上の事例では、順位番号1番に「平成16年11月18日金銭消費貸借の同日設定」を原因とする抵当権が設定されています。

金銭消費貸借とは、金銭消費貸借契約(お金を貸す契約)のことであり、この契約と同日に2,120万円を債権額とした抵当権設定登記が行われたことがわかります。

また、順位番号2番には「平成16年9月24日保証委託契約に基づく求償債権の平成16年11月18日設定」を原因とする抵当権が設定されています。

金融機関は住宅ローンを融資しますが、その際に保証会社と保証委託契約を締結します。

この保証委託契約により、何らかの事情で債務者がローンを支払えなくなった場合に、保証会社が債務者に代わって金融機関に残債務を返済(代位弁済といいます)することになります。

根抵当権

根抵当権とは、継続的取引から生じる複数の債権を一括して担保する抵当権のことをいい、会社の借入金などの場合に設定することがあります。

<根抵当権設定の事例>

上の事例においては、平成4年12月24日に極度額1,000万円の根抵当権が設定されていることがわかります。

極度額とは、設定されている根抵当権を担保することができる上限額のことをいい、1,000万円の範囲で貸付元金や利息、遅延損害金を根抵当権で担保することができます。

賃借権

賃料を支払うことにより、土地や建物を借りることができる権利です。

前述の通り、通常の賃貸借契約においては、賃借権が登記されることはほとんどありません。

採石権

他人の土地において、砂利や岩石を採集できる権利のことをいいます。

処分の制限の登記

処分の制限の登記には、差押や仮差押、仮処分、破産などの登記があり、すべて嘱託で行われ、申請により登記することはできません。

これらの登記が対象不動産に設定されている場合は、厳重な注意が必要です。

差押登記

金融機関などから融資を受けたにもかかわらず、返済期日にお金を返済できない時は、金融機関などは担保物件を差押えて、強制的に競売にかけることができます。

これにより、金融機関などの債権者は、裁判所から競売による競落代金を配当してもらい、残債務の全額または一部の回収を行うことができます。

下の事例は、担保権の実行により競売が開始された事例です。

<差押登記の事例>

仮処分登記

仮処分登記とは、不動産を巡る係争がある場合に、判決が出る前に所有者がその不動産を処分することを禁ずるために行う登記です。

つまり、仮処分登記が行われている場合、その不動産を巡って所有者が誰かと係争中であることがわかります。

登記の効力

不動産登記の場合、表題部で不動産の物理的状況を公示し、権利部で所有権や抵当権などの権利を公示することにより、その効力や対抗要件を備えることができます。

ここでは、登記をすることにより得られる効力や対抗要件について説明します。

権利の優先順位を確保することができる

登記をした権利の優先順位は、登記の申請が受理された順番である「順位番号」と受付年月日・受付番号」により決まります。

権利部(甲区)では、順位番号順に上から時系列で並んでおり、一番下に記載されている所有者が現在の所有権ということになります。

権利部(乙区)では、基本的には順位番号の上位の権利者が優先されます。

<登記による優先順位の事例>

上の事例で、抵当権の優先順位について考えてみましょう。

順位番号1に債権者(抵当権者)Aが債権額1,500万円の抵当権を設定し、順位番号2に債権者(抵当権者)Bが債権額1,000万円の抵当権を設定しています。

万一、債務者(所有者)が債務の返済をすることができずに競売となった場合、競売の配当金2,000万円から、まず第1順位のAに1,500万円が配当され、Bには残金の500万円が配当されることとなります。

この結果、Aは債権全額を回収することができ、Bは債権の内500万円は回収不能となります。

このように、その不動産が競売などにかけられた場合には、順位番号の早い方から優先的に配当を受けることができます。

第三者への対抗力を持つ

登記を早くした者は、第三者に対して「対抗力」を持つことができます。

「対抗力」とは自分の登記した権利を第三者に主張できる、ということです。

登記をすることにより自分の権利が第三者に対抗力を持つことが、登記の大きな効力といえるでしょう。

<第三者への対抗力を持つ事例>

上の事例は、いわゆる二重売買のケースです。

売主Aは、まず第1の買主Bと土地売買契約を締結しましたが、次に第2の買主Cとも売買契約を締結していました。

しかし、たとえBがCより先に売買契約を締結していても、CがBより先に所有権移転登記をした場合には、BはCに対して所有権を主張できなくなります。

このように、売買契約の時期が先か後かを問わず、先に登記を備えた者が所有権を主張できることとなります。

権利の推定力が働く

「権利の推定力」とは、登記記録上の権利関係の記載は正しいものであると推定されることをいいます。

例えば、登記原因が売買によりAからBに所有権移転登記が行われている場合、AB間の売買契約が有効に締結され、所有権移転登記は正しく行われた、と推定されることになります。

ただし、これはあくまで推定であり、Bによる書類の偽造などにより登記が完了している場合は、本来の正しい権利者であるAはこの登記の抹消を当然請求することができ、推定力は覆されることとなります。

このように、登記には重要な効力がありますので、自分の不動産の権利を守るために速やかに登記を行うことが大切です。

不動産取引のミスも未然に防げます

不動産登記や不動産登記事項証明書の読み方について、解説してきました。

特に不動産を購入する場合には、事前に登記事項証明書(全部事項証明書がベターです)を必ず確認して、抵当権の内容や共有者の有無などの重要な情報をキャッチしておきましょう。

現在では、ほとんどがコンピューター化されていることもあり、手軽に取得することができます。

その不動産を取引する場合のリスクが把握でき、ミスなども未然に防ぐことができます。

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