民泊ビジネスの始め方を徹底解説!許可申請から経営戦略まで

訪日外国人旅行者の急激な増加やAirbnbといった民泊仲介サイトの普及などを背景に、ここ数年民泊ビジネスが大きな注目を集めています。

そのため、多くの法人や個人が「民泊ビジネスを始めたい!」と考えていますが、「何から始めればよいのだろう…」と途方に暮れるケースも多いようです。

民泊を始める場合には「旅館業による民泊」「国家戦略特区における民泊(特区民泊)」「住宅宿泊事業法による民泊(民泊新法)」と3つの営業形態から選択することができるため、それぞれの特性や法律、規制、収益性などを検討し、総合的に判断しなければなりません。

先に物件を入手したが民泊ができなかった…ということがないように、しっかりと戦略を立てて民泊ビジネスを始めたいところです。

今回は、それぞれの営業形態をどのような基準で選択し、民泊ビジネスをどのようにスタートさせたらよいのか、どのようなリスクやデメリットを避けたらよいのかなど、詳しく解説していきます!

民泊ビジネスとは

そもそも民泊とは?

そもそも「民泊」とは、現在のように交通機関や道路などの整備がされておらず、宿泊施設も少なかった時代に、旅の途中で他人の家(民家)に無償で泊まらせてもらうことを意味していました。

つまり、第三者が善意で旅行者などを自分の家に泊めてもてなしていたことが、もともとの「民泊」という言葉の由来です。

現在では、一般的に自宅や賃貸住宅(戸建てや賃貸アパート・マンションなど)の全部または一部を、有償で旅行者に宿泊サービスとして提供することを民泊と呼んでいます。

民泊という言葉自体は、法令上において明確に規定されていないため、いわゆる通称・俗称ということになります。

もともと海外では民泊は一般的な宿泊方法として認知されており、大都市からリゾート地まで幅広いエリアで展開されています。

近年では、インターネットの普及により「部屋を貸したいオーナー」と「宿泊を希望する旅行者」を手軽にマッチングすることが可能となり、世界各国で民泊が拡がりを見せています。

ヤミ民泊・違法民泊の問題

日本においても、近年急激に増加している訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加や多様なニーズに対して、宿泊施設の数や宿泊サービスが圧倒的に不足しているため、それを補う存在として民泊に期待が寄せられてきました。

しかし、本来「旅行者を有償で宿泊させる」という行為は、旅館業法上の旅館やホテル、簡易宿所などでなければ行えないため、旅館業法の営業許可を取得する必要があります。

この旅館業法の営業許可は、フロントの設置義務や建物の用途変更、消防設備など多くの要件があり、一般的なマンションや一戸建てでは営業許可を得ることはほとんどできません。

そのため、マンションの1室や戸建てなどの無許可営業のヤミ民泊・違法民泊が数多く横行し、利用者とのトラブルや周辺住民とのトラブルなどが多発したことから、社会的問題となっていたのです。

整備されてきた法規制やビジネス環境

横行するヤミ民泊・違法民泊問題を解決し、明確なルールの下で健全な民泊運営が普及するように、国も法整備や環境作りに本格的に取り組み始めました。

2016年になり旅館業法における簡易宿所以外に合法的に民泊を運営できるよう「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」が制定され、一定の条件のもと都道府県等による認定を受ければ、旅館業の許可を取得せずに合法的に民泊運営ができるようになりました。

この民泊事業を「特区民泊」といいます。

<特区民泊の概要>

引用元:首相官邸ホームページ 国家戦略特区 旅館業法の特例について より

この制定を受けて、2016年1月に東京都大田区、2016年4月には大阪府、2016年10月には大阪市と、続々と特区民泊の指定を受ける自治体が増えていきました。

2019年3月現在、国家戦略特区に指定されている区域は下記の通りです。

<国家戦略特区に指定されているエリア>

引用元:首相官邸ホームページ 国家戦略特区 より

ただし、これらの国家戦略特区の指定区域の中で、特区民泊の条例を制定している自治体は、東京都大田区、大阪府、大阪府大阪市、新潟県新潟市、福岡県北九州市、千葉県千葉市の6自治体となっています(2019年3月現在)。

国家戦略特区に指定されていても特区民泊の条例が定められていない自治体では、特区民泊を行うことができませんので注意が必要です。

<特区民泊を行うことができる自治体(2019年3月現在)>

各自治体により、特区民泊の条例に関する規定が異なりますので、事前に物件が所在する自治体に確認しましょう。

また、今後は他の国家戦略特区の自治体においても、特区民泊の条例が制定される可能性があり、特区民泊の拡大が期待されています。

さらに、2018年6月には旅館業法、特区民泊に続く第3の枠組みとして住宅宿泊事業法(以下「民泊新法」といいます)が施行されました。

住宅宿泊事業法は、旅館業法による営業許可を取得できないマンションや戸建てなどの住宅において、一定の条件のもと合法的に民泊を行うことができるよう制定されました。

つまり、2019年3月現在、日本国内で合法的に民泊ビジネスに取り組むためには、

・旅館業法の許可を取得する
・国家戦略特区において特区民泊の認定を受ける
・住宅宿泊事業法の届出を行う

のいずれかの方法を選択することとなります。

民泊のビジネスモデルとは

民泊のビジネスモデルは非常にシンプルです。

まず、マンションや戸建てなどの部屋に家具・家電類や備品類などを設置して、宿泊施設としての機能を整えます。

備品類などをどこまでそろえるかは事業者の判断次第ですが、少なくとも宿泊者が滞在中に不便なく快適に泊まれる環境にしておくことが大切です。

また、それほどコストをかけずにシンプルな部屋にするのか、高級な家具や大型テレビを設置して高級志向の部屋にするのか、部屋のコンセプトも事業者の志向や物件のグレード次第といえるでしょう。

<民泊物件のイメージ>

こうしてセットアップが終わった部屋に、Airbnbなどの民泊仲介サイトを活用して旅行者を集客し、宿泊料金を利用者から受領します。

すなわち、利用料金がそのまま売上高(収入)となります。

例えば、受け入れ可能な宿泊者を4人、宿泊料金を1泊30,000円とした場合、仮に1ヶ月のうち25日間の予約が入れば、30,000円×25日=750,000円の売上げとなります。

<民泊ビジネスの基本的ビジネスモデル>

もちろん運営した場合のリスクもありますが、単純に部屋を賃貸する場合と比較して、収益性の高さは一目瞭然です。

セットアップのコストは最初の1回しかかかりませんので、1ヶ月で初期投資を回収することも可能であり、運営期間中は部屋のクリーニング費用や消耗品の補充費用、民泊仲介サイトへの手数料(3%~12%程度まで民泊仲介業者による)しかかからず、利益率の高いビジネスモデルといえます。

民泊を始めるさまざまな目的

ここでは、民泊を始めようとする人のさまざまな目的について見ていきましょう。

外国人旅行者とのふれあいや文化交流のために始める

外国人旅行者の中には、日常的な日本の文化や日本食、日本人との交流を目的として訪日する人も大勢います。

そうした外国人旅行者は、自宅の1室を民泊として運営している部屋に泊まることに興味を持っています。

この場合、民泊事業者は法律的には民泊新法(家主居住型)の届出が必要ですが、事業化のハードルは比較的高くありません(詳しい法的要件やポイントについては後述します)。

民泊を手軽に始めることが可能で、外国人との交流の場を持てるうえに副業としての収入を得ることもできる…という目的の方に最適です。

既存の不動産オーナーが空室対策として始める

賃貸アパート・マンションを1棟単位で所有しているオーナーが、空室対策として民泊に取り組むケースもあります。

この場合は旅館業法による許可を取得することは難しいため、民泊新法(家主非居住型)による登録、あるいは物件が特区にある場合は特区民泊による認定を取得して運営することとなります。

また、このケースにおいては、

・親から相続した実家(空き家)を活用して民泊を始める
・区分所有マンション(1室単位)を所有しているオーナーがその部屋で民泊を始める

などのパターンも該当します。

民泊により不動産投資の収益性を高めたい不動産投資家

民泊を運営する(あるいはすでに運営している)ことによって、不動産投資の収益性を高めたい不動産投資家が民泊を始めるケースもあります。

例えば、家賃収入が400万円の物件を5,000万円で購入する場合の表面利回りは8%となります。

しかし、同じ物件で民泊を始めた場合の民泊収入が800万円とすると、表面利回りは16%ととなり収益性が2倍となるのです。

ただし、民泊物件としての物件力や稼働率、セットアップ費用、運営費、営業日数などの要素により収益性が変化しますので注意が必要です。

また、民泊の運営が軌道に乗って高収益な物件となった場合は、転売して大きな利益確定ができることも魅力といえるでしょう。

サブリースシステムを活用して収益性の高い民泊を始めたいサブリース事業者

物件を購入せずに所有者から借りて、民泊物件として運営するケースもあります。

この方法は、いわゆるサブリースシステム(転貸)と言われ、旅行者から受領する宿泊費と家主に支払う家賃の差額が利益となる仕組みです。

<サブリースシステムによる民泊運営>

具体的には、部屋(1室単位)や建物(1棟単位)の所有者から民泊を行う目的で賃借し、民泊事業者(個人・法人)としてその部屋で民泊運営を行う方法です。

この場合は、旅館業法による許可、民泊新法(家主非居住型)による登録、あるいは物件が特区にある場合は特区民泊による認定のいずれかで民泊を運営することができます。

大切なことは、旅館業以外の場合に事前に物件所有者から民泊運営の許可をもらうことです。

物件所有者に無断で民泊を行った場合は、契約違反としてトラブルが発生するばかりか、強制退去などの事態にも発展しますので注意が必要です。

新しいビジネスチャンスのために民泊に取り組む不動産業者

不動産業者にとっては、前述の不動産投資事業やサブリース事業の取り組み方の他にも、新しいビジネスチャンスが広がっています。

民泊新法における家主非居住型の民泊の場合、民泊事業者は住宅宿泊事業管理業者に管理業務を委託しなければならない、と住宅宿泊事業法に規定されています(ただし一定の条件あり)。

この住宅宿泊事業管理業者のための登録要件は、宅地建物取引業やマンション管理業に従事している事業者であれば満たすことができるため、あたらしく民泊管理業を行うことができるチャンスがあるのです。

国としても、多くの不動産業者(特に賃貸管理をメインとしている不動産業者)が管理業者として登録し、積極的に不動産オーナーへ民泊運営を呼びかけていくことを期待しています。

民泊の3つの営業形態やそれぞれの違いとは

次に、「旅館業法」「特区民泊」「民泊新法」の特徴や違いについて確認しましょう。

「旅館業法」「特区民泊」「民泊新法」の比較

まずは、それぞれの営業形態の要件やポイントについて、一覧表で確認してみましょう。

<民泊の営業形態の比較表>

それぞれの営業形態の違いやポイント

「旅館業法」「特区民泊」「民泊新法」に関して、大きく違う5つのポイントについて確認しましょう。

行政への申請

旅館業法 特区民泊 民泊新法
許可 認定 届出

どの営業形態においても、都道府県に対して営業の申請を行う必要があります。

「許可」とは、一般的に法律で禁止されている行為を、特定の条件のもとに適法に行えるようにすることをいいます。

許可は申請を受けた行政官庁に裁量(自由な判断)が認められるため、申請自体に不備がなかったとしても申請が拒否される(不許可となる)場合があることが特徴です。

「認定」とは、当事者の行為や事項について、行政官庁がその事実や法律関係の存否の確認を行うことをいいます。

認定を受けることによって、法律上の権利が発生したり義務が緩和・免除されたりします。

これらに対して「届出」は、もともとその行為を禁止しておらず、その事実を義務として知らせれば基本的には行える…という性質のものです。

つまり、申請の難易度は「許可>認定>届出」の順となり、民泊新法による「届出」が最もハードルが低いことがわかります。

年間営業日数

旅館業法 特区民泊 民泊新法
制限なし 制限なし 1部屋あたり180日以内

この年間営業日数が、3つの営業形態の最も重要なポイントといえるでしょう。

旅館業法と特区民泊については年間営業日数の制限はありませんが、民泊新法においては家主居住型も家主非居住型も年間180日以内という制限があります。

前述の通り、民泊新法は申請のハードルは低いのですが、旅館業法や特区民泊の半分の日数しか民泊営業ができないため、収益性の面でハンデがあるといえるでしょう。

そのため、事業収益が目的の場合は旅館業法または特区民泊による民泊運営を検討してもよいでしょう。

民泊新法でしか検討できない場合は、1年の残りの180日を契約期間が1ヶ月単位のマンスリーマンションなどの家具付き賃貸物件として運営することもひとつの方法ですので、検討しましょう。

最低宿泊日数

旅館業法 特区民泊 民泊新法
制限なし 2泊3日以上 制限なし

旅館業法、民泊新法では最低宿泊日数の制限はありませんが、特区民泊の場合は2泊3日以上と定められており、単発的な1泊のみといった宿泊を受け付けることはできません。

この場合の1日は、当日の正午から翌日の正午までを指します。

特区民泊の最低宿泊日数は、2016年1月の制定当初は6泊7日以上と定められていましたが、使い勝手が悪く事業者が増えないことから2016年10月に一部改正が行われて、2泊3日以上に緩和された経緯があります。

居室の床面積

旅館業法 特区民泊 民泊新法
宿泊者1人につき3.3平方メートル以上(宿泊者数10名未満の場合) 25平方メートル以上 宿泊者1人当たり3.3平方メートル以上

居室の面積はそれぞれにおいて、上記の通り定められています。

旅館業法による簡易宿所の場合、客室の延床面積は33平方メートル以上必要と定められていますが、宿泊者数10人未満の場合は宿泊者1人につき3.3平方メートル以上となっています。

特区民泊は25平方メートル以上、民泊新法は旅館業法と類似しており宿泊者1人当たり3.3平方メートル以上の床面積を必要としています。

ここで注意しなければならないのは、床面積の算定方式です。

建物の床面積には「内法面積」と「壁芯面積」の2つの方式の床面積があります。

内法面積とは、建物の壁の内側の寸法により求められた床面積であり、部屋の内側をメジャーなどで測った場合と同じです。

登記簿謄本に記載される床面積は内法面積となっています。

壁芯面積とは、建物の壁などの中心線で囲まれた部分の床面積のことであり、一般的に設計図や不動産広告・パンフレットに使われる床面積です。

壁の厚みが半分含まれるため、内法面積より壁芯面積の方が床面積は増えることとなります。

例えば、壁芯面積が25平方メートルの場合、内法面積は23.5平方メートルといったようになります。

そのため、各営業形態で申請する場合の床面積の要件に注意が必要となります。

旅館業法の場合は内法面積を採用して申請、民泊新法では壁芯面積を採用して申請します。

特区民泊の場合は各自治体により判断基準が異なるため、事前に内法面積、壁芯面積のいずれを採用するのかを確認する必要があります。

管理業務の委託

旅館業法 特区民泊 民泊新法
規定なし 規定なし 【家主居住型】
原則は家主が対応
【家主非居住型】
住宅宿泊事業管理業者へ委託する義務あり

民泊新法においては、住宅宿泊事業者は基本的に住宅宿泊事業管理業者へ管理業務を委託しなければならない義務があります(一定の条件あり)。

そのため、宿泊者のチェックインから始まり、宿泊名簿の作成、日常清掃や各種点検作業、苦情の受付、トラブル対応など一連の管理業務は旅館業法や特区民泊と違い、管理業者が対応することになります。

ただし、家主居住型で家主自らが管理を対応できる場合は委託しなくともよいとされています。

この場合、住宅宿泊事業者(家主)が原則1時間、事情により2時間程度まで不在とならないことが必要であり、これを遵守できない場合は「家主不在型」と判断されて管理業務を管理業者へ委託しなければなりません。

旅館業法や特区民泊の場合は特に規定がなく、事業者が対応しているケースが多いでしょう。

それぞれの営業形態のメリット・デメリットとは

続いて、自分自身が営業形態を選択する際の検討材料として、それぞれの営業形態のメリット・デメリットを確認していきましょう。

<それぞれの営業形態のメリット・デメリット一覧>

旅館業法による民泊のメリット・デメリット

まずは、旅館業法に定める簡易宿所で営業する場合のメリット・デメリットについて説明します。

メリット

旅館業法に基づいて行政より許可を得るため、合法的に民泊運営ができます。

そのうえ、最低宿泊日数や年間営業日数の制限がないため、1年365日を通して1泊から利用者を集客することができ、自由な営業活動が行えます。

これにより、事業収益性の面で非常に優れていることもメリットのひとつでしょう。

デメリット

旅館業法の許可を取得するためには、旅館業法の他にも都市計画法・建築基準法・消防法などの厳しい法令をクリアして施設要件を満たす必要があり、難易度が高いことがデメリットです。

また、許可を取得するために大規模なリフォーム工事などの初期投資や従業員が常駐することによる人件費といったランニングコストも発生します。

自由な営業ができる反面、負うべきコストやリスクも高いといえるでしょう。

特区民泊のメリット・デメリット

続いて、運営可能なエリアは限られますが、特区民泊により民泊運営をする場合のメリット・デメリットについて説明します。

メリット

旅館業法の適用が免除されているため、フロントなどの施設の設置や厳しい施設要件、大規模なリフォーム工事、人件費などが発生するがないため、コストやリスクを軽減しながら合法的に民泊運営を行うことができます。

また、旅館業法同様に年間営業日数の制限もなく年間を通して民泊を運営できるため、一定の事業収益性が確保できるでしょう。

行政への申請も認定のため比較的難易度は高くなく、物件(部屋)と管理者さえ確保できれば、区分所有マンションの1室から手軽に民泊を始めることが可能です。

デメリット

行政の認定を受けるためには、建物の用途や用途地域、消防設備などの一定の条件を満たさなければ民泊を行うことはできません。

ただし、自治体ごとに条件や規制が異なるため、事前にしっかりと確認しましょう。

特区民泊の場合、最低宿泊日数が2泊3日以上と制限されているため、1泊を希望する利用者を受け入れることができませんが、6泊7日以上であった規制が2泊3日以上と緩和された経緯もあり、それほど大きなデメリットとは言えないでしょう。

また、当然のことですが、国家戦略特区に指定され民泊条例を制定している自治体でしか特区民泊は行えないこともデメリットと言えます。

しかし、国家戦略特区の本来の目的は規制を緩和して経済を活性化することですので、今後のエリア拡大が期待されています。

なお、区分所有マンションやサブリース(転貸)で特区民泊を行う場合は、管理規約や賃貸借契約書上で民泊を行うことが許可されていなければなりません。

民泊新法のメリット・デメリット

最後に、民泊新法による民泊運営のメリット・デメリットについて説明します。

メリット

民泊新法による行政への申請はハードルの低い届出となっているため、全国どこでも手軽に区分マンション1室から民泊を始めやすいというメリットがあります。

また、旅館業法に定められる用途地域の制限が緩和されているため、住居専用地域でも民泊を行うことが可能となり、最低宿泊日数の制限もないため1泊から利用者が泊まれるメリットがあります。

デメリット

最大のデメリットは、年間営業日数が180日以下と制限されていることです。

年間の半分しか営業ができないことになり、物件を購入して運営する場合やサブリース(転貸)による運営を検討する場合は、事業収益性の面で利益を出していくことが難しいと言えるでしょう。

また、特区民泊同様に管理規約や賃貸借契約で民泊が禁止されている場合は、民泊新法の届出を行うことができません。

民泊物件の入手方法や民泊開始までの主なポイント

民泊を始めるためには、まず物件を入手しなければなりません。

ここでは、民泊を行うための物件の入手方法やセットアップなどについて説明していきます。

民泊物件の入手方法

民泊を運営しようとする場合、物件の入手方法には下記の4つの方法が考えられます。

・自宅の1室を利用する
・所有している賃貸アパート・マンションや区分所有マンションを利用する
・賃貸物件を借りてサブリースする
・投資用の1棟型賃貸アパート・マンション・ゲストハウスや区分所有マンションなどを購入する

自宅の1室や所有している賃貸アパート・マンション、区分所有マンションを利用して民泊を始める場合は、第三者が介在しないため旅館業法・特区民泊・民泊新法の要件を満たすいずれかの営業形態で取り組めばよいでしょう。

次項からサブリースや物件を購入して民泊を始める場合に、どのようにして物件を入手すればよいのかを説明します。

サブリースでの物件入手の流れ

サブリースにより民泊を運営する方法は、比較的リスクが少なくて済みますので、まずはサブリースで民泊を始めることをオススメします。

<サブリース物件入手から民泊開始までの主な流れ>

物件エリアの選定

まず始めに、物件のエリアを決めます。

具体的には、自分自身が住んでいたり働いていたりする土地鑑のあるエリア、ランドマークへアクセスの良いエリア、大手ビジネスホテルが集積しているエリア、渋谷・新宿・大阪・京都などの外国人に人気のエリアなどが挙げられます。

土地鑑のあるエリアであれば、ローカル情報や穴場的な情報などを発信することができ、地元ならではの優位性を築くこともできるでしょう。

また、外国人に人気のエリアであればアピール度が高いですが、借りる場合の賃料も高いことが多く、事前に収益性をよく検証する必要があります。

いずれにしても、最寄駅から物件へのアクセスが徒歩10分以内であることが大切です。

外国人旅行者は荷物を抱えているため、駅から距離が遠ければ敬遠されてしまう可能性が高いでしょう。

物件情報の検索

大まかにエリアを決めましたら、不動産ポータルサイトにて物件情報を検索します。

主な不動産ポータルサイトには、

LIFULL HOME’S 賃貸
アットホーム 賃貸
Yahoo不動産
SUUMO

などがあります。

これらのサイトで物件を検索する際には、家賃相場とともに敷金・礼金などの契約条件もよく確認します。

敷金・礼金が契約条件になっている物件は人気物件のことが多く、民泊に対してネガティブは反応をされるケースが多いです。

一方、敷金ゼロ礼金ゼロといった物件は、エリアに競合物件が多くてなかなか入居者が決まらない物件の場合があります。

そうした物件は民泊の許可を得られる可能性が高いため、交渉してみるとよいでしょう。

物件の種別は、賃貸アパート・マンション、戸建て、区分所有マンションなどが主ですが、戸建て賃貸は一般賃貸でも人気が高いため物件自体が少なく、区分所有マンションは管理規約の問題や隣室などの理解が必要なため注意が必要です。

その他、民泊・転貸を前提とした物件だけを掲載している民泊運営を始めたい人向けの不動産情報サイトも登場しています。

エリアやアクセス、建物面積、間取りなどの物件情報ばかりでなく、民泊運営による予想収益なども確認できるため、大変参考になるサイトです。

みんぱーく
民泊物件.com

ぜひ、これらの専門サイトも確認してみましょう。

ただし、サイトの特性上、掲載されている物件の絶対数はかなり限定されてしまいます。

仲介業者を訪問

目ぼしい物件が見つかったら、実際に不動産仲介業者を訪問して担当者と話してみましょう。

たとえ、その物件が最終的に民泊NGであっても、その後も民泊可能な物件が出た場合に優先的に紹介してもらえるよう、信頼関係を築いておきましょう。

現地調査

商談が進められそうであれば、実際に現地を調査します。

主な調査ポイントは、

・自分で歩くことにより、最寄駅からの距離を体感する
・物件までの周辺環境や防犯性、コンビニ・スーパー・ドラッグストア・飲食店・コインランドリーなどの生活に必要な施設などを確認する
・近隣に観光地や娯楽施設があるか確認する
・建物のエントランスや共用部分が清潔できれいな状態かを確認する
・専有部内の設備(エアコン・ユニットバス・システムキッチンなど)のスペックや状態を確認する
・室内の採寸をして必要な家具が設置できるか、ベッドが何台設置できるかなどを確認し、大まかなレイアウトをイメージする

となります。

実際に民泊物件としてイメージをして、自分自身が旅行者だったら…と考えることが大切です。

賃貸借契約締結

現地に問題がなく、家主と合意ができれば賃貸借契約(マスターリース契約といいます)を締結します。

契約賃料・共益費・敷金・礼金・仲介手数料・フリーレント・鍵交換費用・ルームクリーニング代などの費用は価格交渉が可能ですので、あらかじめ交渉してみましょう。

ちなみに、フリーレントとは契約開始日から一定期間(1ヶ月間や2ヶ月間など)賃料の支払いが免責となることをいいます。

一方的に「安くしてください」とこちらの要求を突き付けるだけですと、家主側も「それなら契約しなくて結構です!」となってしまいますので、お互いがメリットのある提案をする必要があります。

例えば、1~3月の繁忙期を過ぎた4月以降の閑散期に提案してみるとか、良い物件があればまとめて契約するなど、Win-Winの関係が築けるような交渉を心掛けましょう。

すでに民泊運営の実績がある場合は、その運営状態や物件写真などを提示すると信頼してもらえます。

また、締結する賃貸借契約書には「民泊運営を許可する」という文言や特約条項を加筆してもらうか、その旨の覚書などを別紙で交わすようにしましょう。

下記の事例は、国土交通省が作成したサブリースをする場合のマスターリース標準契約書のサンプルです。

転貸の条件に関して「民泊の可否」が付け加えられており、民泊新法・特区民泊の区別も記載することができます。

<マスターリース標準契約書の民泊に関する転貸条件の事例>

引用元:国道交通省ホームページ サブリース住宅原賃貸借標準契約書 より

現地セットアップ

無事に家主とのマスターリース契約が終了しましたら、続いて利用者を迎え入れるために部屋のセットアップを行います。

セットアップ期間中も家主へ支払う賃料や共益費というコストが発生しているため、事前に現地の採寸、コンセプトの構築、レイアウト作成、家具・備品類の発注などの段取りをしっかりと整えておき、短期間で民泊を始められるようにすることが非常に重要です。

セットアップのコストをどの程度かけるかは、部屋の専有面積、コンセプト、レイアウトにより異なりますが、必ず設置すべき家具や備品、設備類は以下の通りです。

こうした家具・備品類はニトリ・IKEA・Amazon・楽天などのインターネット通販などを利用して、現地に配達してもらうと手間がかかりません。

そのため、利用する会社や配送日時の調整を行って、無駄やミスがないように気を付けましょう。

なお、トイレットペーパーやティッシュペーパー、シャンプー類、洗濯用洗剤などの消耗品は物件近くのスーパーでまとめて購入します。

現地のセットアップは理想を言えば1日で完了できるとよいですが、遅くとも2~3日で完了できるよう段取りを組みましょう。

セットアップの費用は、高級志向のセットアップは別にして、IKEAやニトリなどで家具・家電・備品類をセンス良くシンプルなテイストで仕上げた場合で約28~30万円程度、消耗品等で約1~2万円程度の合計30万程度の予算を見ておくとよいでしょう。

そして、セットアップが完了したら室内の写真を撮ります。

この写真はAirbnbなどの民泊仲介サイトへ物件を掲載する際に使用します。

キッチン・ダイニングルーム・リビングルーム・寝室・洗面所・浴室・玄関・バルコニー・バルコニーからの眺望など、できるだけオシャレに見えるよう工夫して撮っておきましょう。

広角レンズのカメラなどで撮影すると、室内を広く見せることができベターです。

最後に、各種の案内書を作成して室内に置いておくと外国人利用者に喜ばれます。

例えば、ゴミ出しルールや家電類の使い方など日本式のルールをまとめておきます。

特に特区民泊では、「施設の使用方法に関する案内書」の設置が義務付けられており、申請時の提出書類となっています。

特区民泊の要件ともなっている案内書への記載事項は、

・施設内に備え付けられた設備の使用方法
・ゴミの処理方法(廃棄物集積所の場所、排出できる日時など)
・騒音を発生させないなど近隣住民の生活環境の保全への配慮
・火災等の緊急事態が発生した場合の通報先(消防署、警察署、医療機関、事業者の電話番号)及び初期対応の方法(防火、防災設備の使用方法など)
・滞在者が消防署、警察署、事業者などに情報提供を求める場合の連絡方法

となっています。

これ以外にも、

・ゴミ分別のルール
・洗浄機付きトイレの利用方法
・洗濯機や乾燥機の利用方法
・電子レンジンの利用方法
・Wi-Fiの利用方法
・主なランドマークへのアクセス
・周辺MAP
・グルメMAP

などがあれば、利用者(特に外国人)に「またここを利用したい!」と感じてもらえるかもしれません。

民泊運営開始

セットアップが終わりましたら、民泊仲介サイトへ物件情報を掲載して利用者を待ちます。

利用者からの予約や問い合わせに対しては、なるべく1時間以内に返答すると信頼度がアップするうえに、他の物件に変更されてしまうリスクを減らすことができます。

とはいえ、仕事の都合や時差の関係などで対応できない場合もあるでしょう。

その場合は、遅くとも半日以内には返答するように心がけましょう。

また、メールで使用する言語は基本的に英語であり、中国語・韓国語の場合もあります。

Google翻訳などを利用して対応することも可能ですが、時に意味の通じないおかしな翻訳になることもあるので注意が必要です。

できれば、語学が得意なスタッフやパートナーがいると安心ですし、いずれ物件数が増えてくれば自分一人では対応しきれなくなります。

従業員として雇用しなくとも、「クラウドワークス」や「ランサーズ」などのクラウドシーシングを利用すれば、スキルのある主婦などの在宅ワーカーを探すことができます。

クラウドワークス
ランサーズ

物件を購入する場合の流れ

物件を購入して民泊を運営する場合は、物件の取得コストが数百万、数千万単位となり、リスクが非常に高いことを自覚しなければなりません。

「買ったけど民泊運営ができない物件だった…」といった事態が生じないように、事前のチェックや物件調査を綿密に行いましょう。

同時に、収益性に関しても細心の注意を払ってシミュレーションする必要があります。

<物件の購入から民泊開始までの主な流れ>

購入物件探しでの判断のポイント

・旅館営業が可能なエリア

旅館業では旅館営業が行えるエリアを定めており、以下の6つの用途地域に建てられている物件が対象となります。

<用途地域ごとの建築の制限>

上の表の通り、

・第一種住居地域(延床面積が3,000平方メートル以下のもの)
・第二種住居地域
・準住居地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域

が対象の用途地域となります。

特区民泊の場合も旅館業法の用途地域に準じますが、最終決定は自治体が行いますので自治体に事前確認しましょう。

・建物の延床面積

旅館業法の場合、中古一戸建てまたは1棟アパート・マンションの延床面積が200平方メートル未満の場合は建物の用途変更の確認申請が不要となります。

万一、200平方メートル以上の場合は、用途変更の確認申請が必要となり、大きな手間やコストがかかります。

そのため、中古住宅などを簡易宿所に転用する場合は、延床面積が200平方メートル以下の物件を探すとよいでしょう。

・建物が適法に建てられている

建ぺい率や容積率をオーバーしていない、接道義務(敷地と道路が2メートル以上接していること)を満たしているなど、建築基準法を遵守して適法に建てられている物件であることが重要です。

違反建築の物件や既存不適格物件などは建物全体を現行法に適合させる必要があるため、コスト面を考えて避けた方が無難です。

・玄関帳場(フロント)の設置義務

ホテルや旅館では玄関帳場(フロント)の設置義務がありますが、簡易宿所の場合は「設けることが望ましい」とされています。

その判断は各自治体に委ねられているため、事前に設置義務の有無について自治体に確認しましょう。

もし設置しなければならない場合は、物件内に設置するスペースを確保する必要があります。

可能であれば、設置義務のない自治体の物件を探しましょう。

特区民泊や民泊新法の場合、フロント設置義務はありません。

物件エリアの選定~現地調査

物件エリアの選定から現地調査まではサブリースの場合とほぼ同様です。

ただし、物件を購入して民泊を始める場合は、旅館業法による簡易宿所もしくは特区民泊による民泊運営をオススメします。

民泊新法では、年間営業日数が180日以内と制限されているため、購入した場合の収益性が厳しいと考えられるためです。

旅館業の許可を取得するにはさまざまな要件などのハードルが高いですが、購入する場合には自分自身が所有者であるため、施設要件を満たすことやリフォーム工事などのリーダーシップが取れることもあり、知識やスキルがあれば比較的スムーズに進めることができます。

特区民泊の場合も年間営業日数の制限がないため、特区にある物件であれば購入して民泊を運営しても成功する可能性があり、旅館業法より申請のハードルが低いことも魅力です。

物件の種類においては、中古一戸建てを購入した場合は簡易宿所へリフォームして運営するか、特区民泊で運営することになります。

または、予算が許せば簡易宿所の許可を取得済の物件を購入するのも良いでしょう。

区分所有マンション1室を購入する場合は、特区民泊での運用を検討します。

<簡易宿所の販売物件事例>

物件情報の検索は、やはり不動産ポータルサイトで行いますが、投資用物件に特化した不動産ポータルサイトもありますので、そちらもぜひチェックしてみましょう。

<通常の不動産売買ポータルサイト>
LIFULL HOME’S
アットホーム
Yahoo不動産
SUUMO

<投資用不動産ポータルサイト>
楽待
健美家
不動産投資連合隊
アットホーム 投資

売買契約締結および決済・引渡し

通常、売買契約締結後、1~2ヶ月以内に決済・引渡しを行います。

売買契約締結時には手付金(売買価格の5%~20%程度)を支払い、決済時に残金を支払うと同時に所有権移転登記を行います。

不動産仲介業者へ支払う仲介手数料は、売買価格×3%+6万円(税別)となります。

売買価格の交渉は「買付証明書」という書面(購入申込書ともいいます)にて行います。

自分自身でシミュレーションした収益や利回りなどのロジックをもとに、ビジネスライクに指値をしてよいでしょう。

購入価格は民泊ビジネスの成功のカギを握っていると言っても過言ではありません。

いかに安く仕入れられるかが非常に重要ですので、「指値が通らなければ次の物件を探そう」といったくらいの気持ちでいることが大切です。

現地セットアップ~民泊運営開始

この過程はサブリースの場合と同様ですので、前記を参照してください。

旅館業許可申請の手続きや必要書類とは

ここでは、旅館業許可申請の全体像や必要書類などについて確認しましょう。

関係法令の基準をすべて満たす必要があるためハードルは高いですが、積極的に民泊運営を考えている場合は最も有効な営業形態です。

旅館業許可申請手続きの流れ

<旅館業許可申請手続きの流れ>

旅館業許可申請の大きな流れは上記の通りですが、各項目について説明します。

関係各所への事前相談

簡易宿所営業の許可を取得するためには、旅館業法のみならず建築基準法・都市計画法・消防法などすべての関係法令や自治体の条例の基準をクリアしなければなりません。

そのため、申請先である保健所だけでなく各法令を所管する関係各所へ行き、事前に各法令等に適合しているかどうかを相談・確認します。

法令等に適合していない場合は、その改善方法や整備方法などについて相談しましょう。

また、事前相談の際には、住宅地図や建物図面などの物件資料を忘れずに持参しましょう。

許可申請に関する相談は建物所在地を管轄する保健所、都市計画に関する相談は市区町村の都市計画課、建築基準法に関する相談は市区町村の建築指導課(建築審査課)、消防法に関する相談は建物所在地を管轄する消防署で行います。

許可申請

旅館業の許可権者は各都道府県知事ですが、実務的な申請先は建物所在地を管轄する保健所となりますので、申請書類は保健所の担当部署に提出します。

保健所から関係機関へ照会・相談

申請を受理した保健所は、市区町村の建築指導課、消防署、小中学校などの教育機関、各都道府県など該当する関係機関へ遵法性などについて照会を行います。

万一、問題が判明した場合には追加書類の提出や是正措置などを求められる場合がありますので、速やかに対応しましょう。

建物の検査

法令上の問題がないと確認できれば、保健所や消防署が現地で建物の検査を行います。

実際に、現地が申請されたとおりに法令上の基準を満たしているかどうかを検査していきます。

許可書の交付

これらの手続きを経て、関係法令や自治体の条例などの基準をすべて満たしていると判断された場合に、保健所より簡易宿所営業の許可が下り、許可書が交付されることになります。

旅館業許可申請の必要書類

旅館業の許可申請につきましては、法令上の基準を満たしたうえで下記の書類が必要となります。

【提出書類】
・旅館業営業許可申請書
・構造設備の概要
【添付書類】
・土地建物の登記事項証明書または賃貸借契約書(旅館業を営むために必要な権原を有することを示す書類)
・付近見取り図(半径300メートル以内の住宅、学校等が記載されたもの)
・建物の配置図
・建物の各階平面図
・建物の正面図
・建物の側面図
・玄関帳場(フロント)の詳細図
・照明設備系統図
・給排水系統図
・機械換気設備系統図
・配管図(客室にガス設備を設ける場合)
・消防法令適合通知書の写し
・法人の場合は定款または登記事項証明書(3ヶ月以内発行のもの)の写し
・建築基準法に基づく確認済証および検査済証の写し(またはこれに代わる書類)

<旅館業営業許可申請書の記入例>

※この記入例は鹿児島県の事例です。
引用元:鹿児島県ホームページ より

<構造設備の概要のサンプル>

引用元:東京都福祉保健局 東京都西多摩保健所ホームページ より

申請手続きの必要書類については、自治体によって様式も添付書類も異なる場合がありますので、事業を行おうとする所在地を管轄する保健所で必要書類などについて、事前に確認しましょう。

許可申請手続きに関する費用や期間

旅館業許可申請の手続きには申請手数料を納付しなければなりません。

申請手数料は自治体により異なりますが、簡易宿所の場合およそ10,000円~20,000円程度になり、申請時に収入印紙などで納めることになります。

また、これらの許可申請手続きは自分で行うこともできますが、役所との事前相談や各種図面の作成、検査立会いなどを多岐にわたり作業が発生し、専門的知識も必要となるため専門家である行政書士に依頼することもひとつの方法です。

行政書士に依頼すれば、申請手続きに必要な膨大な時間を民泊運営の戦略構築や準備に充てることができます。

行政書士に申請手続き一式を依頼した場合の費用の目安は、15~30万円程度です。

許可申請に要する期間は、事前相談から許可書の交付まで概ね2~3ヶ月程度が目安ですが、物件の状況や行政に業務状況などによって変動する可能性があります。

特区民泊の特定認定申請の手続きや必要書類とは

特区民泊の特定認定の申請手続きや必要書類などについて見ていきましょう。

自治体ごとに手続きや必要書類が異なる可能性がありますが、まずは大きな流れを確認します。

特区民泊の特定認定申請手続きの流れ

<特区民泊認定申請手続きの流れ>

特区民泊の特定認定申請の大きな流れは上記の通りですが、各項目について説明します。

特区民泊の物件要件

まずは、特区民泊の特定認定申請が行える物件の要件を改めてまとめておきます。

ただし、自治体により異なる可能性もありますので注意しましょう。

・賃貸物件で行う場合は建物所有者の、区分所有マンションで行う場合は管理組合の許可(管理規約に明記)が必要
・建物の用途が「住宅」「共同住宅」「寄宿舎」であること
・旅館業の営業許可が取得できる用途地域であること
・居室が25平方メートル以上であること
・適法な消防用設備が整っていること

6.1.2関係各所への事前相談

物件が特区民泊の物件要件を満たしている場合は、申請先である保健所だけでなく各法令を所管する関係各所へ行き、事前相談を行います。

事前相談の際には、住宅地図や建物図面などの物件資料を忘れずに持参しましょう。

申請の全体像については建物所在地を管轄する保健所、都市計画に関する相談は市区町村の都市計画課、建築基準法に関する相談は市区町村の建築指導課(建築審査課)、消防法に関しての相談は建物所在地を管轄する消防署で行います。

消防署へ申請

特に消防法に関しては、旅館業と同等の扱いとなるために厳しい基準を満たす必要があります。

建物の延床面積などによっても基準が異なり、申請書類も多岐にわたるため、事前相談で必要な設備などについて十分に確認しておきましょう。

最終的には消防法令適合通知書を取得して、特定認定申請書に添付します。

近隣住民説明会

特区民泊の運営を開始するためには、事前に近隣住民に周知しておき、苦情などがあった場合には適切に対応することが事業者に義務付けられています。

周知の方法は「ポスティング」「個別訪問」「説明会の開催」がありますが、方法は自治体により異なりますので自治体に確認しましょう。

いずれの場合も、下記の周知内容を書面にして説明します。

・特区民泊運営者の氏名(法人の場合は法人名と代表者名)
・施設の名称と所在地
・事業概要
・苦情や問い合わせに対応する窓口(担当者名・所在地・連絡先)
・廃棄物(ゴミ)の処理方法
・火災などの緊急事態が発生した場合の対応策

近隣住民への周知の基本的な流れとしては、まず説明すべき近隣住民の範囲を確認し、基本的には「個別訪問」または「説明会の開催」を行い、そこで会えなかった住民には「ポスティング」を行う…という流れになります。

ただし、自治体によりルールが異なる可能性もあるため、必ず事前相談で確認しましょう。

近隣説明会を開催する場合は、特区民泊を運営する施設で行うと参加者にとっても民泊をイメージしてもらいやすいためオススメです。

<東京都大田区の場合の近隣住民の範囲の例>

引用元:東京都大田区ホームページ 大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の申請手続きについて より

保健所へ特定認定申請建物の検査

法令上の問題がないと確認できれば、保健所や消防署が現地で建物の検査を行います。

実際に、現地が申請されたとおりに法令上の基準を満たしているかどうかを検査していきます。

許可書の交付

これらの手続きを経て、関係法令や自治体の条例などの基準をすべて満たしていると判断された場合に、保健所より簡易宿所営業の許可が下り、許可書が交付されることになります。

特区民泊の特定認定申請の必要書類

特区民泊の特定認定申請につきましては、法令上の基準を満たしたうえで下記の書類が必要となります(自治体により異なる場合あり)。

【提出書類】
・特定認定申請書
・構造設備の概要並びに各居室の床面積、設備及び器具の状況(別紙)
【添付書類】
・法人の場合は定款または登記事項証明書(3ヶ月以内発行のもの)の写し
・個人の場合は住民票の写し
・賃貸借契約書およびこれに付随する契約に係る約款
・施設の構造設備を明らかにする図面
・施設の周辺地域の住民に対する説明の方法およびその記録(説明に使用した資料を含む)
・施設の周辺住民からの苦情および問い合わせに適切に対応するための体制およびその周知方法
・消防法令適合通知書の写し
・水質検査成績書の写し(使用水が水道水以外の場合)
・【賃貸物件の場合】施設に係るすべての賃貸借契約書の写し並びに所有者および賃貸人が事業の用に供することを承諾していることを証する書面の写し
・【区分所有マンションの場合】管理規約に違反していないことを証する書面
・付近見取り図
・居室内に備え付ける施設の使用方法に関する案内書
・賃貸借契約およびこれに付随する契約に係る約款
・建築基準法適合性チェックシート

<特定認定申請書のサンプル(東京都大田区)>

引用元:東京都大田区ホームページ 大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の申請手続きについて より

<構造設備の概要並びに各居室の床面積、設備及び器具の状況(別紙)のサンプル(東京都大田区)>

引用元:東京都大田区ホームページ 大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の申請手続きについて より

特定認定申請手続きの必要書類については、自治体によって様式や添付書類が異なりますし、今後変更される可能性もあるため、事業を行おうとする所在地を管轄する保健所で事前に確認しましょう。

特区民泊の特定認定申請手続きに関する費用や期間

特区民泊の特定認定申請の手続きには申請手数料を納付しなければなりません。

申請手数料は自治体により異なりますが、およそ20,000円~30,000円程度になり申請時に納めることになります。

前出の東京都大田区の場合は、申請手数料は20,500円となっています。

また、これらの特定認定申請手続きは自分で行うこともできますが、申請のプロである行政書士に依頼することもひとつの方法でしょう。

行政書士に申請手続き一式を依頼した場合の費用の目安は、15~30万円程度です。

特定認定申請に要する期間は、事前相談から認定書の交付まで概ね2ヶ月程度が目安ですが、物件の状況や行政に業務状況などによって変動する可能性があります。

民泊新法による住宅宿泊事業の届出手続きや必要書類とは

ここでは、民泊新法に定められた住宅宿泊事業の届出手続きの流れや必要書類などについて見ていきます。

民泊新法による住宅宿泊事業の届出手続きの流れ

<住宅宿泊事業の届出手続きの流れ>

住宅宿泊事業届出の大きな流れは上記の通りですが、各項目について説明します。

届出前に確認しておくべきポイント

まずは、届出前に確認しておくべきポイントについてまとめておきます。

・賃貸物件で行う場合は建物所有者の、区分所有マンションで行う場合は管理組合の許可(管理規約に明記)が必要
・適法な消防用設備が整っていること(消防法令適合通知書が必要)

特区民泊の場合とあまり変わりありません。

関係各所への事前相談

物件が民泊新法の物件要件を満たしている場合は、届出先である市区町村の生活衛生課や保健所だけでなく消防法を所管する消防署へ行き、事前相談を行います。

施行間もない法律であることから、どのような要件が必要であるのか、営業開始前や開業後にどのような点に注意したらよいのかなど、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

自治体によって条例の内容が異なって規制されており、行政側も手探り状態の側面もあるためです。

例えば東京都の場合、23区すべてに独自ルールがあり、物件の所在地ごとに基準や規制が異なっている状況です。

まずは物件が所在する市区町村の担当窓口で、住宅地図や建物図面などの物件資料を持参して相談してみましょう。

要件の確認と必要工事

消防法に関しては、非常用照明や火災報知器などの消防設備の設置や、準耐火構造壁による防火の区画(家主非居住型で宿泊床面積50平方メートルを超える場合)などの工事が必要となる場合があります。

必要な要件や設備を満たしたうえで、最終的には消防法令適合通知書を取得して、住宅宿泊事業届出書に添付します。

周辺住民への事前周知

住宅宿泊事業の届出を行うにあたっては、届出者から周辺住民に対して住宅宿泊事業を営業する旨を事前に説明することが望ましいとされています。

特区民泊のように義務付けられてはいませんが、運営開始後のトラブルを避けるためにもぜひ周辺住民に対して書面にて説明を行っておきましょう。

<東京都産業労働局による近隣住民の範囲の例>

引用元:東京都産業労働局ホームページ 住宅宿泊事業ハンドブック より

周知書面の記載事項などは、特区民泊に準ずるとよいでしょう。

消防署による検査

必要な消防設備工事を行ったうえで、建物所在地を管轄する消防署の検査を受けます。

検査は床面積に関係なく行う必要があり、適法であれば消防法令適合通知書が交付されます。

届出書の提出/通知書の発行

届出書に添付する書類一式をそろえて、届出書を作成し建物所在地を管轄する担当窓口に提出します。

その後、問題がなければ都道府県知事より届出番号が記載された通知書および届出番号が記載された標識が発行されます。

標識は一戸建ての場合は玄関ドアなど、マンションなどの共同住宅の場合は共用エントランスや集合ポストなどに掲示します。

民泊新法による住宅宿泊事業の届出の必要書類

民泊新法による住宅宿泊事業届出につきましては、法令上の基準を満たしたうえで下記の書類が必要となります(自治体により異なる場合あり)。

【提出書類】
・住宅宿泊事業届出書 第一号様式(第一面から第五面)
【添付書類】
・定款および登記事項証明書(3ヶ月以内発行のもの)の写し(法人の場合)
・登記されていないことの証明書(個人の場合は申請者分、法人の場合は役員全員分)
・身分証明書(個人の場合は申請者分、法人の場合は役員全員分)
・不動産登記事項証明書
・住宅の図面(各設備の位置、間取り及び入口、階、居室・宿泊室・宿泊者の使用に供する部分の床面積)
・転貸等の承諾書(賃貸物件の場合)
・管理規約の写し(区分所有マンションの場合)
・管理組合に禁止する意思がないことを証する書面(管理規約に住宅宿泊事業を営むことについて定めがない場合)
・管理業者から交付された書面の写し(管理を委託する場合)
・欠格事由に該当しないことの誓約書
・入居者の募集が行われていることを証する書類

<住宅宿泊事業届出書の記入例>
(第一面)

(第二面)
(第三面)
(第四面)
(第五面)
引用元:国道交通省運営 民泊制度ポータルサイト minpaku ホームページ より

住宅宿泊事業者は、届出住宅の居室の数が5を超える場合、もしくは届出住宅に人を宿泊させる間、不在となる場合には、管理業務を住宅宿泊管理業者へ委託しなければなりません。

ただし、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業に登録している場合や家主居住型の場合は、その限りではありません。

民泊新法による住宅宿泊事業の届出手続きに関する費用や期間

民泊新法による住宅宿泊事業の届出手続きの申請手数料については法律上規定がなく、現状では費用は徴収されていません。

ただし、今後変更される可能性もあります。

また、これらの届出手続きは自分で行うこともできますが、行政書士に依頼することもひとつの方法です。

行政書士に届出手続き一式を依頼した場合の費用の目安は、15~30万円程度です。

届出手続き要する期間は、届出書の提出から通知書の発行までは概ね7~10日程度が目安です。

民泊仲介サイトとは

最後に、民泊を運営するうえで絶対に欠かせないツールである民泊仲介サイトについて見てみましょう。

Airbnbに代表される民泊仲介サイト

Airbnbに代表される民泊仲介サイトとは、部屋を貸したい民泊事業者と宿泊したい旅行者(外国人に限りません)をつなぐインターネット上のプラットフォームです。

インターネットがつながる環境であれば、パソコンやスマートフォンで世界中どこからでもサービスを利用することができます。

Airbnbへの登録は無料であり、登録して会員になれば部屋を貸したい人は世界中の人に物件情報を発信することができ、宿泊したい人は予算や希望に応じて物件を探すことができ、予約もサイトを通じて行えるという仕組みです。

海外を旅行する旅行者の中には、できるだけ予算を抑えて旅行をしたいと考える人の他に、現地の人や文化と触れ合いながら旅行をしたいと考える人も増えています。

民泊仲介サイトは、こうした様々な希望を持つ旅行者のニーズにこたえてくれるサービスであり、世界中で利用されています。

代表的な民泊仲介サイト

それでは、代表的な民泊仲介サイトを紹介しますので、各サイトを確認してみましょう。

・Airbnb(エアービーアンドビー)

世界的に最大規模の民泊仲介サイトです。

Airbnb公式サイトはこちら

・HomeAway(ホームアウェイ)

2005年よりサービスが開始され、業界2位の規模を誇ります。

HomeAway公式サイトはこちら

・Flipkey(フリップキー)

旅行口コミサイトの世界最大手TripAdvisor(トリップ・アドバイザー)が運営する民泊仲介サイトです。

Flipkey公式サイトはこちら

・STAY JAPAN(ステイジャパン)

とまれる株式会社が運営する日本国内の民泊仲介サイトです。

STAY JAPAN公式サイトはこちら

今後も適切な規制緩和や法整備を…

日本政府は、2020年までに年間の訪日外国人旅行者数を4,000万人に到達させるという目標を掲げています。

そのためには、まだまだ宿泊施設は不足していると言われています。

まだ法整備が始められたばかりであるため、使い勝手の悪い面や改善が必要な部分も見られます。

特に、民泊新法における年間180日以内ルールは、民泊の普及を阻害するルールといえるでしょう。

ただし、これは旅館・ホテル業者への配慮とも考えられ、仕方のない面もあるのかもしれません。

今後も適切な規制緩和や法整備が進んでいけば、民泊のみならず外国人旅行者を受け入れるすべての業態が活性化し、旅行者にも満足のいくサービスやホスピタリティを届けることができれば、日本も世界に誇れる観光立国となっていくのではないでしょうか。

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